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⑤新聞の見出し程度に話してもらう

私が現在行なっているSE™️心理セッションのやり方なので、他のセラピストとは異なるかもしれません。

リソースを思い出したり、イメージしたりして、十分に味わったら、トラウマ解放に向けての準備が整ったことになります。
準備を整えてから、トラウマの再体験にならないように、トラウマと再交渉をしていきます。
そして、扱いたいトラウマを一つ選びます。
そして、「今、そのことを思い出すと、体はどんな感じがしますか?」と尋ね、クライエントが耐性の窓の中にいられることが確認できたら、
トラウマについて新聞記事の見出し程度に話してもらいます。

「新聞記事の見出し程度?短すぎるんじゃない?」と思うかもしれません。
その通りです。とても短いです。
実は、ソマティック・エクスペリエンシングでは、トラウマについて長く話す必要がないのです。

「今日はどんなことを扱いですか?新聞の見出し程度で答えてください」と尋ねて、

例えば、「交通事故を起こしてから怖くて運転ができない」、「上司からのパワハラを受けて出社することができなくなった」、「犯罪被害にあってから外出できない」、「子供の頃父親から虐待を受けた」、「高校時代のいじめが夢に出てくる」、「地震の建物倒壊に巻き込まれた」など。

このようなことを聞くだけで心理セッションを始めることができます。

一般のカウンセリングではトラウマになった出来事について詳しく話をすることが多いと思います。
つらかったこと、ひどいことをされたこと、許せないこと、大変だったことについてたくさん話をして、それをカウンセラーに聞いてもらい、分かってもらうことで癒されます。

カウンセラーに十分に話を聴いてもらい楽になることもありますが、詳しく話をすることでトラウマを再体験してしまうこともあります。
トラウマについて話をすると交感神経系が活性化するので、つい限界を超えて、いっきに話してしまうことがあります。

すると、耐性の窓を超えてしまうんですね。

耐性の窓を超えてしまうと、交感神経系がずっと活性化してしまい、興奮状態で眠れなくなったり、悪夢を見たり、フラッシュバックを起こしてしまうことがあります。怒りが止まらなくなったりもします。

逆に交感神経系の高止まりから副交感神経系(背側迷走神経系)によるシャットダウンが起き、うつ状態になったり、起き上がれなくなったり、引きこもりたくなったりもします。

ソマティック・エクスペリエンシングでは、カウンセリングとは異なったアプローチをします。

ソマティック・エクスペリエンシングは、文字どおり「身体感覚の経験」を通して、トラウマを解放します。

身体感覚の経験とは、自律神経系にアプローチする方法です。
ソマティック・エクスペリエンシングでは、トラウマは出来事の中にあるのではなく、自律神経系の中にあると見ています。

トラウマになった出来事を思い出し、そのことを少し話すだけで、すでに自律神経系は反応を起こしています。
自律神経系に反応が出ていれば、それ以上話す必要はありません。

トラウマは時間が経っても自律神経系の中に残っています。
新聞の見出し程度に話すことを呼び水として、トラウマへの再交渉が始まります。

次は、「⑥その時の自律神経の様子を見る」を説明します。

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