ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)

悩みの背景に潜むトラウマ

20年ほどカウンセリングを行っていると、多くの人がトラウマを抱えていることがわかります。しかし、本人はトラウマがあるとは気づいていないこともあります。例えば、緊張してしまう、パニックになってしまう・身近な人にキレてしまう・人に会いたくない・学校や仕事に行けない・お腹の調子が悪い・いつも肩がこっている、など、一般的な悩みの背景にトラウマが隠れている場合があります。


PTSDとは

戦争、災害、事故、事件など、生命の危機を感じたりするような衝撃的なことが起きた後にPTSDになることがあります。厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」では、PTSDの症状が説明されています。

  1. 突然、つらい記憶がよみがえる
    事件や事故のことなどすっかり忘れたつもりでいても、ふとした時に、つらい体験の時に味わった感情がよみがえります。
    それは恐怖だけでなく、苦痛、怒り、哀しみ、無力感などいろいろな感情が混じった記憶です。
    周りからみると、何もないのに突然感情が不安定になり、取り乱したり涙ぐんだり怒ったりするので、理解に苦しむことになります。
    その事件や事故を、もう一度体験しているように生々しく思い出されることもあります。
    また、同じ悪夢を繰り返し見ることもPTSDによくある症状です。

  2. 常に神経が張りつめている
    つらい記憶がよみがえっていない時でも緊張が続き、常にイライラしている、ささいなことで驚きやすい、
    警戒心が行き過ぎなほど強くなる、ぐっすり眠れない、などの過敏な状態が続くようになります。

  3. 記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
    何気ない日常の中につらい記憶を思い出すきっかけがたくさん潜んでいます。
    多くのPTSD患者さんは何度も記憶を呼び起こすうちに、そうしたきっかけを避けるようになります。
    どんなことがきっかけになるかは本人でなくてはわからず、本人も意識できないままでいることもあります。
    意識できない場合でも、自分で気づかないうちにそうした状況をさけるようになるのです。
    その結果、行動が制限されて通常の日常生活・社会生活が送れなくなることも少なくありません。

  4. 感覚が麻痺する
    つらい記憶に苦しむことを避けるために、感情や感覚が麻痺することもあります。
    そのために家族や友人に対してこれまで持っていたような愛情や優しさなどを感じられなくなったり、
    人にこころを許すこともできなくなりがちです。
    これは、つらい経験の記憶からこころを守るための自然の反応なのです。

  5. いつまでも症状が続く
    こうした症状は、つらく怖い経験の直後であればほとんどの人にあらわれるものです。
    ですので、事件や事故から1ヶ月くらいの間は様子をみて、自然の回復を待ってみます。
    数ヶ月たっても同じような症状が続いたり、悪化する傾向がみられたら、PTSDの可能性を考えてみてください。

発達性トラウマとは

事件や事故・災害などに巻き込まれた後に生じるPTSDとは別に、発達性トラウマというものがあります。それは、子供の成長の過程で生じてくるトラウマです。虐待は発達性トラウマを作り出す大きな原因ですが、それ以外でも発達性トラウマが生じます。「その生きづらさ、発達性トラウマ?(花丘ちぐさ)」には発達性トラウマについて具体的に書かれています。

 

例えば、自身の病気、事故、医療処置、家族の病気や事故、自身や家族の長期にわたる入院や、家族に特別な世話を必要とする人がいるなどの原因によって、親からの十分な愛情を受けられなかった場合、発達性トラウマを作り出すことがあります。

 

また、不適切養育も発達性トラウマを作り出します。虐待は受けていなくても、「おまえは何をやってもうまくできない」「そんなことでは社会でやっていけないぞ」「兄さんの方がずっと優秀だ」「近所の○○君の方が勉強がよくできる」「そんな学校に行っていることがわかったら、親戚に恥ずかしい」「どうせお前は人に嫌われる」「気が弱すぎる」「強情だ」「背が高くて目立ちすぎる」「目が小さすぎる」など、さまざまに子供を批判する親がいます。あるいは日常的に「早くしなさい」とせかしたり、子供が「遊んでほしい」と「こっちみて」と言って親に近づいても、「あとでね」などと言って相手にしない。こういうことが積み重なると不適切養育になります。


ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)とは

ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)とは、トラウマ起因のストレスの生理学的モデルを用いたトラウマ療法です。自律神経系についての新しい理論であるポリヴェーガル理論をベースにして作られています。従来のトラウマ治療には、トラウマとなった出来事を思い出したり語ったりしている際にトラウマを再体験するリスクがありました。再体験するとトラウマに圧倒されてしまいます。話した後に気分が落ち込むこともあります。そのリスクを減らし、安全に、トラウマを克服していきます。

 

ソマティック・エクスペリエンシング®️(SE™️)では、トラウマに再交渉します。再交渉とはトラウマになったことを話して再体験するのとは異なります。トラウマには苦しかった時の感情やエネルギーが詰まっています。それらが解放されていないためPTSDの症状が現れます。

 

トラウマに再交渉するときは、その感情やエネルギーを少しずつ解放します。一度に急激に体験してしまうと圧倒されてしまい再体験してしまうので、時間をゆっくりにして、クライエントが耐えられる範囲に小さく分けてワンステップずつ解放して行きます。


SE™️タッチとは

SE™️タッチとは、ソマティック・エクスペリエンシング®️を用いたタッチセラピーです。クライエントは椅子に座るかマッサージテーブルに横になります。セラピストはクライエントの関節、隔膜、内臓などに手を置いていきます。触れることに抵抗がある場合はクライエント自身に触れてもらったり、意識を向けてもらったりします。

 

関節や隔膜、内臓には未解決の防衛反応のエネルギーが蓄積されており、そのため心身にさまざまな症状が現れます。手を置いたり意識を向けることでクライエントの体をサポートします。すると滞っていたエネルギーが自然と身体から抜けていき、症状が緩和されます。

 

マッサージやボディワークのように、クライエントの体に力を加えて真っ直ぐにするようなことはしません。クライエントの体の固まりが解けて、呼吸や血の巡りが全身に行き渡るようにサポートします。


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