④トラウマを話す前に思い出す

私が現在行なっているSE™️心理セッションのやり方なので、他のセラピストとは異なるかもしれません。

 

リソースを思い出したり、イメージしたりして、十分に味わったら、トラウマ解放に向けての準備が整ったことになります。

準備を整えてから、トラウマの再体験にならないように、トラウマと再交渉をしていきます。

そして、扱いたいトラウマを一つ選びます。

 

クライエントが今日のセッションで扱いたいトラウマを選んだということは、すでにそのトラウマを思い出しています。

その時にセラピストは尋ねます。

 

「今、そのことを思い出すと、体はどんな感じがしますか?」

 

なぜ、体の感じを尋ねるかというと、トラウマは体に残っているからです。

より詳しく言うと、

トラウマになるような脅威に直面すると自律神経系の一部の交感神経系は「戦ったり、逃げたりする」ためのエネルギーを呼び起こします。

脅威が去ると、「戦ったり、逃げたりする」ためのエネルギーが抜けていきます。

副交感神経系が働き、フーッと一息つきます。

また、脅威に「戦ったり、逃げたりして」対処するとそのエネルギーが使われます。

 

トラウマとは、脅威に対して「戦ったり、逃げたりする」ためのエネルギーが呼び起こされたまま閉じ込められている状態です。

例えて言うと、熱いエネルギーが冷たい氷に囲まれて出られない状態です。

 

トラウマについて思い出すと、氷が温まり溶け出します。

すると、氷に囲まれている熱いエネルギーが出てこようとします。

その時、自律神経系の交感神経系が活性化し、ドキドキしたり、体に力が入ったり、体が熱くなったりします。

手や足が落ち着かなくなったり、呼吸が荒くなったります。

 

「今、そのことを思い出すと、体はどんな感じがしますか?」

 

こう尋ねることで、セラピストはクライエントの自律神経系の状態を確認することができます。

なぜ、クライエントの自律神経系の状態を確認する必要があるのでしょう。

 

自律神経系には「耐性の窓」と呼ばれる、その人が耐えることができる許容範囲があります。

自律神経系が「耐性の窓」の中に収まっている場合にはトラウマを扱っても大丈夫ですが、

「耐性の窓」を超えてしまっている場合には、トラウマを扱うことはできません。

 

「今、そのことを思い出すと、体はどんな感じがしますか?」と尋ねて、

 

クライエントが「呼吸が苦しいです、頭が痛いです、心臓がバクバクします、めまいがします、力が入りません、気が遠くなりそうです」など答えた場合には、クライエンの自律神経系が「耐性の窓」を超えてしまっている状態です。

 

「耐性の窓」を超えてしまっている時にはトラウマを扱うことができないと述べました。

 

なぜかというと、一気に症状や状態がエスカレートするからです。

パニック発作が出たり、激怒したり、失神したりすることもあります。

そのため、そのまま話を聞くのではなく、一度トラウマから離れる必要があります。

そして、クライエントの自律神経系が「耐性の窓」の中にいられるような関わりします。

 

交感神経系が高活性になっている時には、沈静化するように働きかけます。

そのためには、リソースについて尋ねたり、部屋の中をゆっくり見回してみたり、足裏を感じたり、全く別の話をしたり、セルフタッチをしてもらったりします。

逆に副交感神経系が高活性になっていて、シャットダウンしている時には、覚醒をもたらすように働きかけます。

手をグーパーしてもらったり、体をタッピングしてもらったり、足の力を感じてもらったろ、立ち上がってもらったりします。

 

このように、トラウマについては一度横に置き、クライエントが「耐性の窓」の中にいられるようになることを目指していきます。

 

次は、⑤「トラウマについて新聞記事の見出し程度に話す」を説明します。

法人や団体向けのメンタルヘルスセミナー/カウンセリングサービスはメンタルヘルスセミナーをご覧ください。