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③扱いたいトラウマを一つ選ぶ

私が現在行なっているSE™️心理セッションのやり方なので、他のセラピストとは異なるかもしれません。

リソースを思い出したり、イメージしたりして、十分に味わったら、トラウマ解放に向けての準備が整ったことになります。
準備を整えてから、トラウマの再体験にならないように、トラウマと再交渉をしていきます。

トラウマの再体験とは、話しているうちにトラウマの中に入り込んでしまい、トラウマを体験した時と同じ苦しみを体験してしまうことです。
トラウマの再体験をすると、セッションが終わってからもフラッシュバックが起き、心身の症状や苦しみが悪化します。
カウンセリングやサイコセラピーの一種は、トラウマについて思い出して何度も話していくうちにトラウマに慣れて克服できると言いますが、私はその方法はリスクが大きいと思っています。

心身に耐えられない大きな出来事が、準備する間もなく、唐突に起きることトラウマになります。
「大きすぎる、急すぎる、早すぎる」とも言えます。

多くの人はトラウマについて話をするとき、とてもつらい大きな体験を一気に話してしまいます。
その時は「これまで誰にも話せなかった話を聞いてもらってよかった」と言いますが、家に帰ってからつらくなることが多いです。
これがトラウマの再体験です。

トラウマの再交渉は、トラウマ時やトラウマの再体験とは逆を行います。
つまり、大きなことを細かくして、トラウマを扱う前に前準備をして、時間をゆっくりにします。
そのため、扱いたいトラウマを一つ選んでもらいます。

トラウマの選び方は、大きすぎない出来事から選びます。また、大きな出来事の場合には、時間で小さく区切っていきます。

例えば、あるクライエントが、親が厳しくて毎日夜遅くまで親の前で受験勉強をさせられ、叱られたり、けなされたり、叩かれたりしたとします。
受験勉強のトラウマについて話し出すと、1、2年に渡ってたくさんの出来事があるので、クライエントは話しているうちに圧倒されてしまいます。

そのため、一つのエピソードを選んでもらいます。
例えば、高校2年生の期末テストの数学のテストの結果を親に見せた時などです。

例えば、あるクライエントが、交通事故を起こしてから、車の運転しようとすると不安になってしまうとします。
この場合は、交通事故が原因だと思われますが、事故について話し出すと、心拍数が上がり、呼吸が苦しくなると思います。

そのため、交通事故の瞬間について話すのではなく、事故があつた日の出来事を時間で小さく区切っていきます。
例えば、事故を起こす日の朝、車に乗った時、危ないと思った時、事故後に「大丈夫だ」と最初に思った時、その日の夜。

時間に沿ってエピソードを細かく分けて、その時の心身の状態を落ち着かせていきます。
事故前と事故後について心身が安定したら、交通事故の瞬間について扱うこともありますが、実際はその時を扱わなくても良くなることがあります。

次は、④トラウマを話す前に思い出すについて、述べていきます。

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